2013/10/12

157 房総の石仏二百選 印西市編

タイトルは印西市ですが、前回の我孫子市の積み残しから記載します。
157-1 岡発戸(おかぼっと)白泉寺の待道尊(続房総の石仏百選No.56)
千葉県銚子市と我孫子市を結び利根川沿いを国道356号線が走っています。JR成田線も国道に絡むように走っていますが、湖北駅と東我孫子駅の中間あたり、国道356号線の北に八幡神社・待道神社があります。
国道356号沿いから移されて、八幡神社で間借り風のミニ神社
ガイドブックの解説にあるように待道権現・待道神社は北総限定の女性講中で信仰された神様です。「日本最初女人守護・別当白泉寺」の講中掛け軸からこの待道神社が信仰発祥・待道塔初出であろうとのこと。
安永四年(1775)の玉垣で石鳥居は天保十一年((1840)
玉垣台石には近隣の村々の記名があります
玉垣台石には久寺家(くじけ)村・都部(いちぶ)村・中峠(なかびょう)村・高野山村など近隣の村々の名が刻まれ広く信仰されたことがうかがえます。柏市・我孫子市・印西市域にまたがる村々ですね。

157-2 印西市大森・長楽寺の花見地蔵(続房総の石仏No.77)
天台座主慈覚大師によって承和年間(9世紀前半)に創建されたと伝わる由緒あるお寺です。とはいえ、お寺も参道も非常にわかりにくい場所にあります。さらにはこの花見地蔵を発見するのに5度通いましたが・・・。
最後は、ガイドブック執筆のKさんに教えていただき無事の拝観を済ませることができました。
長楽寺へ向かう青トタン板塀が目印、突き当りを曲がった所の左手斜面

宝暦十二年三月三日造立。所在地はGoogleMapのポイント表示場所斜面
この地蔵も印旛郡内限定で三月(三日)造立を特徴とするお地蔵さんです。いまだに行事など解き明かされていない部分もあって房総石造文化財研究会でも話題の石仏です。
長楽寺はほかにも県指定文化財の梵鐘や、筆者好みの青面金剛などがあって何かと楽しいお寺です。
大好きな二童子四夜叉・三猿付ショケラ持の三面青面金剛
 2008年11月15日No.6-1長楽寺の庚申塔をご覧ください。
157-3 鹿黒・八幡神社の天神塔(続房総の石仏No.68)
こちらも村はずれにある八幡様の森で樹の下にひっそりと佇んでおられる天神像付の石祠です。
正徳三年(1713)造立
しめ縄で見辛いですが、装束の襞まで彫り込まれた優品です。前出の長楽寺にも天神塔がありますがご参考までに掲載しておきましょう。
長楽寺観音堂脇の年不詳天神塔、彫が浅く平板なイメージが残ります
 既出2008年11月15日付6-5鹿黒八幡宮の石祠をご覧ください。隣接した二尾キツネの石祠が見れますよ。
157-4 竹袋・稲荷神社の蚕影山(こかげさん)神塔(続房総の石仏No.66)
養蚕の盛んな上州・信州などで信仰を集めた蚕神を祀った石塔です。
明治43年造立、この地でも養蚕業が盛んだったのでしょう
キツネが金網に入れられているのが可笑しい
日本石仏事典第二版で蚕神供養塔として詳述されています。「蚕神は一般にオシラ様と呼ばれ、寺社民家に祀られた。東北地方では馬と娘の婚姻伝承で養蚕の発祥を伝えています。一方、常陸国蚕影山地域では、天竺国の姫が常陸海岸に漂着したがその遺骸から蚕が発生した」と伝えています。
157-5 別所・地蔵寺の胎蔵界大日如来(房総の石仏No.9)
ガイドブックによると「湯殿山修験が霞場拡張の過程で・・時念仏を融合し・・・湯殿山本地の大日如来が・・建立された」系列の胎蔵界大日如来が地蔵寺の住職墓地一角に祀られています。
真言密教では「胎蔵を客体すなわち理とするに対し、金剛界を主体すなわち智として、真理は主客一体不二であると説き・・・胎蔵界曼荼羅では定印の大日如来を取り囲み12のセッションに分かれる・・・」(岩波仏教辞典)
はい、真言宗ではお仏壇の人気主尊でこのお姿でよく祀られています。
寛文九年(1669)御時念仏衆による建立
現在のお姿は密集整列状態で正面からの撮影はできません。
詳しい記事はは2008年12月27日北総石仏 印西木下ⅢNo.14-2をご覧ください。隣接の熊野神社の瞽女(ごぜ)の奉納手水石など面白い石仏鑑賞ができるので見学おすすめです。
157-6  小林・光明寺の如意輪観音(房総の石仏No.22)
江戸初期から利根川流域の女人信仰は十九夜講が盛行しました。「如意輪観音はこれらの女人信仰と結びつき盛んに造立されました・・」とガイドブックに解説されています。
寛文九年(1669)

百仏に選定されただけあって、本像は六臂思惟形半跏像で左手が透かし彫りの優品です。
こちらも既出で2008年11月No.4-1光明寺墓地をご覧ください。
157-7 造谷路傍の天道念仏塔(続房総の石仏No.26)
印西市造谷の県道64号線沿いに真珠院があります。その東方に宗像神社が隣接していますが、県道64号線から神社に向かう分かれ道の三叉路竹藪の敷地に庚申塔など17基ほど並んでいます。
道標付庚申塔や時念仏塔、右端が小さな天道念仏塔
 日本石仏事典・図典などによると「天道念仏・・・太陽信仰と念仏が習合し・・・茨城千葉神奈川で分布・・・出羽三山信仰ともつながり・・・」とガイドに記載があります。県内でも貴重な石塔のようです。
寛政十一年天道大日如来塔
 この左隣に、出羽三山信仰の大日如来塔が2基並んでいます。
左が享保四年胎蔵界大日塔、右は宝永五年金剛界大日塔
 両方の石仏とも時念仏講で造立されています。天道念仏が出羽三山信仰と関係ある資料となるのでしょうかね?
他に二十三夜塔が3基、道標付庚申塔、扇持冠者風三猿などが楽しめるスポットでした。



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